スマホは、災害時の情報収集や連絡手段としてもなくてはならないものです。
と同時にバッテリーが切れてしまったら使えなくなってしまうので、常に充電器を備えておくことがとても重要です。
実際に被災者を対象にしたアンケートで、「絶対用意すべきと感じたもの」で84%の人がスマホの充電器をあげています。
(2018年自然災害被災者に聞いた防災についてのアンケート)
災害時のスマホ充電器といえば手回し充電器だよね?
実は手回し充電器は災害時の電力供給源として充分ではありません。
この記事では、手回し充電器だけ備えるのはダメな理由と災害時に役立つスマホ充電器について解説します。
- スマホ充電器の種類
- 種類別のメリットデメリット
- 災害時におすすめのスマホ充電器
手回し充電器が充電できない理由
災害を経験した被災者の中で、
「災害用に手回し充電器を備えたけど、使えなかった。」
「手回し充電器で上手く充電できなかった」
という声が度々聞かれます。
一見便利そうな手回し充電器、なぜそのような声がでてくるのでしょうか。
手回し充電器の特徴とともに見ていきます。
手回し充電器のメリット
・本体のみで発電可能
・長期保存ができる
手回し充電器のメリットは、本体のみで発電できることです。
事前に充電しておくことも、電池を備える必要もないので、いつ起こるかわからない災害時に、とりあえず買って備えておけば役立ちます。
また、本体で発電するので、自然放電することもなく長期保存が可能です。
定期的にチェックしなくて良いのはとても楽です。
手回し充電器のデメリット
・充電するのに体力と時間がかかる
・充電時に音がする
手回しでできる発電量はとても少なく、バッテリーが切れたスマホを起動させるのに約10分、3~5分通話するのに1~2分は継続的に回し続けなければいけません。
充電するのに体力や時間を消耗することは、被災時に心身ともに負担になります。
また、手回し充電器は回すときに低いウォンウォンという音がします。
日常生活では気にならないくらいの音ですが、避難所での使用を考えると使いづらさを考えなければいけません。
避難所での生活は、少しの物音でも周りに迷惑をかけてないか気になりますからね…
手回し充電器は充電以外の用途で使おう
以上の理由から、手回し充電器はメインの充電器として備えるのには適しません。
しかし、手回し充電器はラジオやライト、アラートなど他に様々な機能がついているものが多いです。
これらのものを別々に備えるより、1つになっているものを備えたほうが経済的にもスペース的にもいいですね。
なので、手回し充電器はラジオやライトを使用するためにそなえ、充電機能はあくまで他のスマホ充電器のサブの役割で使うことをおススメします。
では、災害時に備えるといい充電器は何か?
まずその他のスマホ充電器の種類と特徴を解説します。
スマホ充電器の種類
災害の時に使えるスマホ充電器の種類と特徴について解説します。
携帯性 | 充電速度 | 容量 | 長期保存 | 価格目安 | |
---|---|---|---|---|---|
モバイルバッテリー | 〇 | 〇 | 〇 | × | 2,000円~ 15,000円 |
乾電池式充電器 | △ | △ | △ | 〇 | 600円~ 2,000円 |
手回し充電器 | × | × | × | 〇 | 2,000円~ 8,000円 |
ソーラーパネル式 | △ | × | △ | 〇 | 5,000円~ 20,000円 |
水使用充電器 | × | 〇 | 〇 | 〇 | 5,000円~ 11,000円 |
家庭用蓄電池 | × | 〇 | 〇 | 〇 | 200,000円~1,000,000円 |
モバイルバッテリー
モバイルバッテリーとは、本体を充電することで使用できるバッテリーのことです。
スマホ充電器の中でも、日常生活で使用している人がもっとも多い充電器です。
モバイルバッテリーのメリット
・持ち運びしやすい
・急速充電が可能
・容量が大きい
モバイルバッテリーは、総合的に様々な面で優れていて、とてもバランスのいい充電器です。
軽量化が進んでいて、カードサイズのものからスマホ位薄いものもあり持ち運びに便利ですし、容量が大きいものだと3~4回充電できるものもあります。
また、急速充電が可能なものであれば普通のものよりも20~30分ほど早くフル充電することができます。
モバイルバッテリーのデメリット
・使えるのは発災後1~2日
・長期保管に向かない
デメリットは長期保管できないことです。
モバイルバッテリーは充電されていないと使うことができないので、いつ来るかわからない災害に備えるためには常に充電しておく必要があります。
しかし、使ってなくても少しずつ放電してしまうので、こまめにチェックしておかないといざという時に使えなかったということになりかねません。
また、発災直後から2日ほど使うのには便利ですがモバイルバッテリー本体の充電が無くなってしまうと使うことができません。
乾電池式充電器
乾電池式充電器のメリット
・乾電池さえあればすぐに充電できる
・長期保存が可能
乾電池式充電器は本体と乾電池さえあればすぐに使うことが可能です。
乾電池はモバイルバッテリーに比べて自然放電が少ないので長期保存に向いています。
普段から備えておくのがベストですが、もし災害時にストックが切れていたとしてもテレビやエアコンのリモコンから電池を抜いて使用することもできます。
注意点としては、乾電池には使用期限があるので、長期保存可能な電池を選ぶか、日常生活でつかいながら備蓄するローリングストックで備えるようにしましょう。
アルカリ乾電池なら、10年以上の長期保存が可能なものもあります!
乾電池式充電器のデメリット
・充電に時間がかかる
・多くの電池を消費する
乾電池は容量が少ないので、充電するのに本数を多く消費します。
スマホ1台をフル充電させるには、6~8本の乾電池が必要です。
4本用の充電器が多いので、一度電池を交換する必要があります。
また、充電時間も、通常のコンセントでの充電の2倍以上かかる場合もあります。
ソーラーパネル式
ソーラーパネル充電器とは、太陽光で発電して充電する充電器です。
ソーラーパネル式のメリット
・晴れていれば、勝手に充電される
・事前準備がいらず本体だけで充電可能
ソーラーパネル式最大のメリットは、太陽さえでていれば繋いでいれば勝手に充電されていることです。
また、事前に充電したり電池を用意する必要もないため、本体一つ備えていれば使うことができます。
自然放電もないのでいざという時に使えなかったということもありません。
ソーラーパネル式のデメリット
・天候が悪い時や室内では使えない
・発電力が弱い
デメリットは、天気が悪いと使えないことです。
室内でも使えないので、外に置いておく必要がありますが、天候急変や盗難防止のためにもそばを離れがたいので使い勝手としてはあまりよくありません。
発電力が弱く、天気のいい日に利用してもスマホがフル充電されるまで5時間以上はかかります。
パネルが大きいものを選ぶことで時間は短縮されますが、持ち運ぶにもかなり不便なのでメインの充電器として使うには適しません。
水使用充電器
水使用充電器とは、文字通り水を使用して発電する充電器です。
最近新しく出たタイプの充電器で、名称もさだまっておらず有名なものだと藤倉コンポジットのアクアチャージやマグネ充電器と呼ばれるものがあります。
現状、種類はあまり多くでていませんが、手軽さや性能からもとても優れているので今後様々な商品が発売されることが予測されます。
水使用充電器のメリット
・容量が大きく、充電速度が速い
・長期保存が可能
・濁りの少ない水であれば使える
最大のメリットは水さえあれば充電が可能ということです。
飲料水のようなきれいな水でなくても、にごりが少なければ
ソーラーや乾電池式と違い充電速度も速いです。
また、自然放電せず、水をいれない限り長期保存が可能です。(5~10年程度)
水使用充電器のデメリット
・サイズが大きい
水使用充電器はサイズが大きめなので、持ち運びには少し不便です。
非常用持ち出し袋に入れるのには適しませんが、自宅備蓄用なら問題ありません。
家庭用蓄電池
家庭用蓄電池とは、充電して電気を貯めておくことで繰り返し使えるバッテリーのことです。
家庭用蓄電池のメリット
・大容量で充電スピードがはやい
・他の家電にも使える
家庭用蓄電池の最大のメリットは大容量で充電スピードが速いことです。
蓄電池を満タンまで充電しておくと、スマホが約60回充電でいるほど容量が大きいです。
スマホだけでなく、ノートパソコンや冷蔵庫などの家電類も動かすことができるので、災害時ライフラインの供給が止まってしまった時も役立てることができます。
家庭用蓄電池のデメリット
・価格が高い
・大きくて場所をとる
デメリットはまず他の充電器に比べて価格が高いことです。
安い物でも20万、超大容量のものとなると、100万を超えるものもあります。
しかし最近では国や自治体の補助金制度もあるので、取り入れやすくなりつつあります。
大きいので災害時しか使わないものに場所をとるのは抵抗があるという場合は、夜間の電気代が安い時に充電し、日中は蓄電池を使うといううように日常で使うこともできます。
災害時に備えるべきスマホ充電器はどれ?
スマホ充電器は沢山の種類があることがわかりましたが、実際どれを備えておくべきなのでしょうか?
それぞれメリットデメリットがあるのは分かったけど手っ取り早くいるものを知りたい…
結論を先に言うと、モバイルバッテリーと乾電池式充電器です。
モバイルバッテリーは、
・すぐに使用できる
・手軽に充電でき、充電スピードも速い
という点から発災直後に使用するのにとても優れています。
災害が起きてすぐは情報収集や連絡手段として特に使う機会が多いので常に持ち歩くかばんに入れておくことでその効果を最大限発揮することができます。
モバイルバッテリーを使い切った後は乾電池式充電器に切り替えることで避難生活が長引いた場合や停電がなかなか復旧しない場合も役立ちます。
大切なのは種類の違う充電器を二つ以上備えておくということです。
そうすることで、それぞれの欠点を補うことができ、不自由することなくスマホを充電することができます。
まとめ
- 手回し充電器をメインの充電器として考えるのは×
- ラジオやライトを使用する目的で備え、充電器はサブで使用するのが良い
- 災害用のスマホ充電器は2種類以上備える(モバイルバッテリーと乾電池式がベスト)
スマホ充電器をきちんと備えておくことで、バッテリーを気にせず安心して被災状況や、家族の安否などの情報を収集することができます。
それぞれ個人や家庭にあわせた充電器を選びましょう。